Wander Bar-ひがし北海道観光情報メディアー
北海道の東の端、知床半島と根室半島の間に位置する「野付半島・尾岱沼エリア」は、北海道の中でも手つかずの自然が残る場所です。
場所は知床と根室の中間にあたる場所であり、道東の各観光地へもアクセスしやすい場所にあります。
野付半島は塩性の湿地や草原、原生林など多様な自然環境は、他では見られないような風景を生み出します。
また、こうした自然に生息するエゾシカやキタキツネなどの野生生物や野鳥の宝庫として知られており、初夏から秋には鮮やかに半島を彩る花々も見どころです。
そして野付半島の付け根部分に位置する尾岱沼エリアは、観光船や道の駅といった観光コンテンツや四角い太陽を観察したり、潮干狩りも楽しめる場所です。
野付半島・尾岱沼エリアを最大に楽しむための、おすすめの観光情報を詳しく紹介しますので、ぜひ旅行の参考にしてください!
いきなり観光スポットを羅列してもつまらないので、ぜひ最初に野付半島の基本を抑えておいてください。
野付半島は全長約26キロメートルもある日本最大の砂嘴(さし)でできた半島です。
砂嘴とは、海流で流された砂が堆積して作られた地形のこと。
全長約26キロと言っても、車が通行できるのは途中までで、先端までは車で行ける最先端から徒歩で行くしかありません。
そのため、全てを見て回ろうと思うと非常に時間がかかります。
半島には砂浜、森林、海岸草原性湿地、塩性湿地、高層湿原などさまざまな植生が広がるため、多様で独特な自然環境が見られます。
そして、野付半島は北海道遺産に選定されていて、次世代に残したい北海道民の宝物として選ばれています。
ちなみに夏に尾岱沼から見られる打瀬舟も同じく北海道遺産に選ばれています。
また、ラムサール条約という、湿地を保護するための条約にも登録されており、多種多様な生物や植物が生息する貴重な場所なのです。
そして、地盤沈下や侵食によるとても幻想的で独特な景色を楽しむことができます。
余談ですが、野付半島の付け根に近い部分は標津町で、先端のほうは別海町となっており、途中でカントリーサインがあるので確認してみるのも面白いですよ。
野付半島には非常にたくさんの野生生物が生息しています。
動物は、エゾシカやキタキツネ、ヤチネズミなどが生息していて、半島周辺の海ではゴマフアザラシやイルカ、ミンククジラなどを見ることができます。
特にエゾシカは必ずと言っていいほど野付半島に行くと見られますので、北海道らしい自然を求めている方にはぴったりの場所といえます。
また、エゾシカほどは見られませんが、キタキツネも車で走っていると見かけることが多いです。
運が良ければこんなかわいいキツネも。餌付けや触ることはNGです
野付半島の付け根から始まり、半島の先にある「野付半島ネイチャーセンター」まで続く約15キロメートルの一本道「道道950号線」は、左右に天然の花畑が見られることから「フラワーロード」と呼ばれています。
5月下旬から10月にかけて、クロユリ、ネムロタンポポ、センダイハギ、ハマナスなどさまざまな花を見ることができます。
野付半島はバードウォッチングのポイントとしても人気です。
オジロワシやタンチョウ、オオワシなど230種類以上の野鳥が観察できます。渡り鳥の中継地で多い時期にはおよそ20,000羽もの渡り鳥が羽を休める重要な場所です。
そのため、2005年に野付半島と野付湾としてラムサール条約に登録されました。
野生生物の宝庫である野付半島ですが、しっかりとルールを守るようにしましょう!
観光客の中には写真を撮るために、立ち入り禁止の場所に入ったり、キツネに餌を与えたりする人もいます。
こうした行為は豊かな自然環境を破壊することにつながるので、これらのルールを意識して観光をするようにしてください。
野付半島の付け根のほうにある駐車場です。
ただの駐車場ですが、根室海峡や海越しに知床連山、そして国後島を見ることができます。
国後島は羅臼山や泊山といった山々を見ることができ、北方領土の近さを実感します。
野付半島を先端に向かって進んでいくと右手に「ナラワラ」と呼ばれる場所があります。
ナラワラとは、ミズナラなど広葉樹が立ち枯れたものをいい、幻想的な光景が広がっています。
アイヌ語でオンニクル(大きい林)と呼ばれる森の中には、今も立派な木々が茂っていますが、手前には枯れ木が多いことから「トドワラ」に対して「ナラワラ」と呼ばれています。
ナラワラの中にある林(オンニクル)は立ち入り禁止ですが、後で紹介する野付半島ネイチャーセンターが実施するガイドツアーに申し込むことで、その中に入ることができます。
時間に余裕があれば参加してみるのもいいでしょう!
次に紹介する野付半島ネイチャーセンターの裏から遊歩道が出ており、遊歩道を進んでいくとトドワラという野付半島らしい景色を見ることができます。
トドワラとはトドマツの原っぱという意味で、かつてはトドマツやエゾマツなどの原生林が広がっていました。
しかし、地盤沈下によって海水が浸食して、立ち枯れした木々の森となりました。その枯れ木も風化によって少なくなっていて、いずれこの景色は見られなくなるといわれています。
遊歩道を進んでいくと桟橋が現れ、「この世の果て」感を間近で感じることができます。
桟橋は夏は両面が海ですが、冬は画像のように一面が氷に覆われるため非常に幻想的な景色となります。
こうした幻想的な風景から、有名なアーティストのプロモーションビデオやCDジャケットの撮影でも何度も使われました(詳細は野付半島ネイチャーセンターで見ることができます)。
現在もトドワラの浸食は進んでいるため、枯れ木が昔よりも減っているので、この素晴らしい景色は将来的には見られなくなるかもしれません。
遊歩道を歩いてトドワラまでは片道25分あるため、時間がない人や体力に自信のない人はトラクターバスを利用してみてもいいでしょう。
トラクターバスは夏のみの運行ですが、トドワラの入り口の看板があるところまでは7分程度で行くことができます。
アトラクション感覚で乗りながら、野付半島の壮大な景色を見るのも楽しいかもしれませんよ。
「野付半島ネイチャーセンター」は、野付半島の自然や歴史についての情報を発信している施設です。
建物の2階にあるネイチャーフロアでは、野付半島で見られる野鳥や植物についての展示、歴史や史跡についての解説があります。
1階は売店とレストランになっていて、お土産探しにもおすすめです。
また、ネイチャーセンターでは、先ほど紹介したようにナラワラの中にある林のツアーだけでなく、トドワラを案内するコースなど様々なツアーを実施しています。
夏だけでなく冬のガイドツアーもあるので、野付半島を存分に楽しみたい人はホームページを参考に、ぜひツアーに参加してみてください。
スポット情報
■名称:野付半島ネイチャーセンター
■所在地:別海町野付63番地
■開館時間:9:00~17:00(4月1日から10月31日)
9:00~16:00(11月1日から3月31日)
■休館日:年末年始
野付半島の東端、野付埼灯台を中心した一帯は、5月下旬から10月まで色鮮やかな花々が次々に咲きだし、クロユリやセンダイハギ、エゾカンゾウなどの色とりどりの野草が咲き誇る「野付半島原生花園」です。
野付半島ネイチャーセンターから野付埼灯台までは、遊歩道が設けられていて、季節の花を見ながら散策が楽しめます。
歩いても片道30分もかからないので、のんびりと歩きながら野鳥や花を見るといいでしょう。
野付半島ネイチャーセンターから先端に向かい、車両立ち入り禁止の場所にある駐車場(野付崎駐車場)を降りて500メートルほど歩くと、雨風を凌ぎながら野鳥を観察できるハイドと呼ばれるものがあります。
野付半島には、コクガンやシギ、チドリ、冬にはオジロワシやオオワシなど日本の野鳥の約40%にあたる250種類以上の野鳥が飛来します。
ここからはそうした野鳥を見ることができ、中にはどのような野鳥がいつ、どれくらいの頻度で見られるのかがわかるので、野鳥観察の参考になります。
基本的には野付半島を歩いているとあちこちで野鳥を見ることはできますが、ハイドの中だと天気が崩れやすい夏や非常に冷え込む冬でもゆっくりと安心して観察できるので安心です。
野付埼灯台は別名「竜神埼灯台」とされ、先ほど紹介した野鳥観察舎の近くにあり、真っ白な灯台は晴れた日にはよく映えます。
灯台近辺はハマナスを筆頭にエゾカンゾウ、ハナショウブが咲く原生花園となっており、この一帯は別海十景にもなっています。
中に入ったり登ることはできませんが、海岸線までは出られるため、天気の良い日は国後島を眺めながらのんびりと散策をしたりピクニックをすることもできる穴場スポットでもあります。
野付半島に囲まれた野付湾は、水深が1〜3メートルほどと浅く、アマモ(海草)が密集する北海シマエビの絶好の生息地です。
打瀬舟は、スクリューで北海シマエビの棲家であるアマモを傷つけないように、帆で風を受けて進みます。
北海シマエビ漁と打瀬舟は、野付湾の夏の風物詩として、北海道遺産に選定されています。
打瀬舟の漁は夏と秋に行われ、それぞれ6月下旬~7月下旬と10月中旬~11月中旬頃がシーズンなので、これらの時期に訪れる場合はぜひ野付湾を観察してみましょう!
野付半島は全長約26キロメートルなので、単純計算で車なら往復1時間でざっと回ることができます。
しかし、これは何も見ずに素通りした場合の所要時間なので当然もっと時間はかかります。
上で紹介したスポットに立ち寄ったり、人によっては野鳥や花を観察してたくさん写真を撮るでしょう。
また、先端までは車では行けず、途中のパーキング(野付崎駐車場)からは歩くことになります。
ここから先にある灯台や野鳥ハイドまでは歩くと片道20分程度かかるため、それだけでも40分以上必要です。
また、先端部分には冬にはユキホオジロという可愛らしい小鳥が集まりますが、ここへ行くには車で行ける場所からさらに1時間ほど歩いた本当の先端になるので、それだけでも相当の時間がかかります。
そのため、野鳥が好きな人やゆっくりと散策したい人は最低でも3〜4時間くらいは十分に滞在することができる場所なのです。
逆に、ナラワラやトドワラ、ネイチャーセンターといったメジャーな観光スポットをざっと回るだけであれば2時間くらいあれば十分でしょう。
野付半島に囲まれた野付湾の陸側の地域は、尾岱沼(おだいとう)と呼ばれています。
尾岱沼周辺には、道の駅や観光船の発着場、温泉などがあり、野付半島と一緒に観光をする人が多い場所です。
道の駅おだいとうは別海町で唯一の道の駅です。
この道の駅は、2024年5月27日にリニューアルオープンしました。
建物の1階が実質的な道の駅で、中には小さなレストランがあります。
1階の「レストラン四角い太陽」では、「別海ジャンボホタテバーガー」や「別海ジョッキ牛乳」などの別海町のご当地グルメが味わえます。
見た目はしょぼいですが、しっかりとホタテが入っており、かなり絶品。
また、別海町は日本一の酪農のまちなので、ぜひここで生産された牛乳とともに味わってください。
2階の「北方展望塔展示室」では、北方領土問題の歴史やこれまでの取り組みに関するパネルや映像が展示されています。
また、3階の展望室からは望遠鏡で野付半島や北方領土の国後島を見ることができ、北方領土の近さを実感することができます。
スポット情報
■名称:道の駅おだいとう
■所在地:野付郡別海町尾岱沼5-27
■開館時間:9:00~17:00(5月~10月)
9:00~16:00(11月~4月)
■休館日:火曜日(4月~6月、9月~3月)
※火曜祝日の場合は翌日、年末年始
「尾岱沼漁港コミュニティセンター」は尾岱沼の観光案内所の機能を持つ施設です。
1階の観光案内所には、各種の観光パンフレットが置かれている他、スタッフが常駐していて宿泊施設や温泉、その季節の見どころなどの情報を案内してくれます。
また、ここでは野付半島や野付湾でのクルージングが楽しめる観光船のチケットを購入することもできます。
乗船の受付は「尾岱沼漁港コミュニティセンター」の1階にあります。
クルーズコースは、野付湾とトドワラを楽しむ基本コースの他に、野付半島の外海に出て近い距離から国後島の景色を楽しんでクジラやイルカ、海鳥を探すコースなどもあります。
ただし、年中やっているわけではなく、5月下旬頃からの運行となるので、事前に出航時間もあわせて確認しておくと安心でしょう。
2階では、打瀬舟による北海シマエビ漁や定置網漁などの漁や、野付半島の自然や動物が紹介されているので別海町の産業や自然を知ることができます。
スポット情報
■名称:尾岱沼漁港コミュニティセンター
■所在地:野付郡尾岱沼港町232番地5
■開館時間:7:30〜17:00(4月から10月)
9:00〜16:00(11月から3月)
■休館日:年末年始
冬の野付湾では、空気の温度差によって光が屈折して太陽が四角く見える蜃気楼現象が見られます。
「四角い太陽」は冬の別海町の風物詩で、運がよければ2月頃の厳冬期の朝に見られます。
この四角い太陽は「白鳥台」という、尾岱沼の道の駅の近くが観察スポットになっています。
ここは毎年12月から3月にかけてたくさんの白鳥が集まることから「白鳥台」と呼ばれているようです。
白鳥台からはオホーツク海に浮かぶ国後島や野付半島の一望できるので、四角い太陽を見るつもりがなくても道の駅のついでに立ち寄ってみるといいでしょう。
日本最大の砂嘴である野付半島と野付半島に囲まれる野付湾は、トドワラやナラワラ、四角い太陽など、他の場所では見ることができないような独特の景観が楽しめます。
また、尾岱沼のある別海町は、北海シマエビや牛乳、ジャンボホタテバーガーなどのグルメも大きな魅力のひとつです。
ぜひ、豊かな自然とさまざまな野生動物や植物、グルメを体験しに「野付半島・尾岱沼エリア」を訪れてみて下さい。
冬に行く予定がある人は、野付半島は全く違う驚くような景色になります。以下の記事も必ずご覧ください。