北海道の冬は雪国ならではの楽しみ方が多数あり、「限られた時期にしかできない貴重な体験をしたい」という人は多いでしょう。
また、自然に恵まれた北海道の中でも、道東エリアは北海道の4割を占める広大な土地に、多くの国立公園があります。行ってみたい場所、やってみたいことを全て叶えるためには、どれだけ時間があっても足りません。
この記事は4泊5日という限られた時間で最大限、道東を楽しむために、人気の冬のアクティビティや自然を満喫できるおすすめのモデルコースを紹介します!
できるだけ希望を叶えながらも、雪道の移動を考慮したスケジュールになっているので、冬の道東エリアの旅行を検討中の場合はぜひ参考にしてみてください。
1日目:流氷を楽しみウトロ温泉に宿泊
1日目は網走で流氷砕氷船を楽しんだ後に、この日の宿泊地であるウトロ温泉に向かうまで、陸から流氷を眺められる絶景スポットや、道東エリア最強のパワースポットを巡ります。
1日目のスケジュール
12:30発流氷砕氷船おーろら乗船→13:30着流氷砕氷船おーろら下船
13:40発道の駅流氷街道網走(おーろら発着場所)→13:50着網走監獄
15:10発網走監獄→15:30着北浜駅
15:40発北浜駅→16:20着来運神社
16:40発来運神社→17:00着以久科原生花園
17:10発以久科原生花園→17:35着オシンコシンの滝
17:45発オシンコシンの滝→18:00着プユニ岬
18:10発プユニ岬→18:20着ウトロ温泉
流氷砕氷船おーろらに乗船
乗船時間約1時間の船旅は、オホーツク海を白く埋め尽くす流氷を割りながら進みます。船自体の重みを利用し、船首を流氷の上に乗り上げて進むため、ダイナミックな経験ができます。
ガリガリとドリルで流氷を砕いて進む砕氷船とは違い、おーろらは南極観測船しらせと同じ仕組みで走行。一面に流氷が広がる景色と併せて、南極に来たような気分も味わえてしまいます。
最大定員440人の大型船のため、乗船中は揺れを感じにくく快適に過ごせますよ。暖房の効いた船内の特別席でゆっくりと流氷を観察したり、展望デッキに出て迫りくる流氷を間近で見ることもできます。
コーヒーラウンジや売店があり、船内で飲み物やお菓子、限定グッズの購入なども行えます。
住所 | 網走市南三条東4丁目5-1 |
電話番号 | 0452-43-6000 |
営業時間 | 1月~3月のみの運行で8:00~17:00(悪天候は運休) |
料金 | 大人4,500円・子ども2,500円(特別席は500円プラス) |
駐車場 | 120台(無料)※おーろら乗船時は道の駅「流氷街道網走」利用 |
公式サイト・SNS | 網走流氷観光砕氷船おーろら/Instagram/Facebook |
網走監獄見学
東京ドーム3.5個分の敷地に、明治時代から実際に使われてきた網走刑務所の建物が移築されています。
当時の刑務所の様子がわかるだけではなく、2016年には庁舎や舎房、教悔室、炊場などが国の重要文化財に指定されるなど、歴史的・学術的にも貴重な建物となっています。
施設内の監獄食堂では、現在の網走刑務所で提供されている受刑者の食事を再現した監獄食の体験ができます。
「意外とおいしい」と評判の監獄食を食べて、獄中生活を疑似体験してみてはいかがでしょうか?
住所 | 網走市字呼人1-1 |
電話番号 | 0152-45-2411 |
営業時間 | 9:00~17:00(入館受付は16:00まで) 12/31と1/1は休館日 |
料金 | 【入館料】大人1,500円/高校生1,000円(学生証を提示してください)/小中学生750円 【監獄食】950円 |
駐車場 | あり(無料) 乗用車400台、バス専用レーン21台、身障者専用、バイク専用あり |
公式サイト・SNS | 博物館網走監獄/X/Instagram |
北浜駅
網走監獄から車で18分、オホーツク海沿いにあるJR釧網本線の北浜駅へ向かいます。網走と知床を結ぶ国道244号線沿いにあるので立ち寄りやすく、無人駅にも関わらず、一年を通じて観光客が途絶えない人気のスポット。
ホームから海までが近いため、夏は草原と海のコントラストが映える場所ですが、冬になると日本で一番流氷に近い駅へと変化します。小さな駅舎の横には展望台があり、上からは見渡す限りの流氷を始め、天気が良ければ能取岬や知床連山が見えることも。
また、駅舎には、国鉄時代の座席や網棚をインテリアに使っている軽食&喫茶「停車場」があります。鉄道ファンを始め、映画やドラマのロケ地としても有名なので、国内外を問わず多くの観光客がやってきますが、撮影のみの立ち入りは控えましょう。入店時には必ず飲食のメニューを注文してください。
駅待合室は無料で利用ができ、撮影もOKです。
住所 | 網走市北浜無番地 |
電話番号 | 0152-46-2410(軽食&喫茶「停車場) |
営業時間 | 11:00~18:00(毎週火曜定休日) |
駐車場 | あり |
公式サイト | 軽食&喫茶「停車場」 |
来運神社
北浜駅から車で36分、斜里町来運地区にある「名水の里来運公園」内にある神社。アイヌの人はこの場所を「ライクンナイ(死者の沢)」と呼び、聖地として崇めてきた場所。そのため、現在でも道東エリア最強のパワースポットとして知られています。
境内には斜里岳の伏流水が毎分5トンも湧き出し、その水温は一年を通じて6℃に保たれています。冬も凍ることがない水は「来運の水」と称され、飲むと名のとおり「運が来て願いが叶う」といわれています。
また、キリンビールの「北海道に流れる名水プロジェクト」の支援対象に選ばれるほど、おいしい水としても知られており、地元の方はペットボトルなどを持参して汲みにくることもあります。
鳥居からは徒歩5分ほど山道を歩くと神社の本堂に到着しますが、夏でも足元がぬかるみやすいところなので、冬は特に注意して参拝しましょう。社務所はないので、お守りなどがほしい場合は車で15分ほどの「道の駅しゃり」で購入できます。
なお、御朱印はありませんのでご注意ください。
住所 | 斜里郡斜里町字来運117(カーナビで出ないときは「名水の里来運公園」で検索してください) |
電話番号 | 0152-22-2125(知床斜里町観光協会) |
駐車場 | あり |
公式サイト | 知床斜里町観光協会 |
以久科原生花園
来運神社から車で17分、知床の景勝地として知られ、初夏はハマナスやエゾスカシユリ、エゾキスゲなどが咲き誇ります。
冬になると、辺り一面に押し寄せる流氷を間近に見ることができ、知床連山も眺められる絶景の穴場スポットです。
海岸線から沖のほうまでびっしりと連なった流氷をすぐ近くにあるため、近づきすぎると危険なので夢中になりすぎないように注意してください。
住所 | 斜里郡斜里町以久科北 |
電話番号 | 0152-22-2125(知床斜里町観光協会) |
駐車場 | あり |
公式サイト | 知床斜里町観光協会 |
オシンコシンの滝
以久科原生花園から車で26分、知床八景のひとつに数えられるオシンコシンの滝は、二手に分かれていることから「双美の滝」とも呼ばれています。滝の中ほどまで階段で上がることができるので、冬は水が流れたまま凍った滝の様子が間近で見られます。
オシンコシンの滝はそれ自体が有名な観光地ですが、冬になると駐車場の向かいからは、目の前の海に着岸した流氷が見渡す限り白い海原を織りなす絶景が楽しめます。
滝はもちろん、流氷を鑑賞する場としてもおすすめです。
住所 | 斜里郡斜里町ウトロ西 |
電話番号 | 0152-22-2125(知床斜里町観光協会) |
駐車場 | あり |
公式サイト | 知床斜里町観光協会 |
プユニ岬の夕日
オシンコシンの滝から16分、ウトロの市街地から知床自然センターに向かって、国道344号線を走ると山道の途中に見えてくるのがプユニ岬展望台です。
展望台自体に駐車場は完備されておらず、知床斜里町観光協会では展望台利用の場合には知床自然センターを利用するようにと周知しています。ただし、展望台付近には駐車帯があり、5台ほど停められるスペースがあります。また、側道があるのでそちらに停めて見学や撮影を行う人もいます。
いずれにしても、周辺には十分な駐車スペースはないので、向かうときはその点に注意してください。
住所 | 斜里郡斜里町遠音別村 |
電話番号 | 0152-22-2125(知床斜里町観光協会) |
駐車場 | なし(原則、知床自然センターを利用) |
公式サイト | 知床斜里町観光協会 |
ウトロ温泉に宿泊
プユニ岬から車で6分。ウトロ温泉は、世界遺産知床の玄関口とされる斜里・ウトロエリアにある温泉街で、ウトロ港付近と高台の2つのエリアがあります。泉質は筋肉痛や関節痛、疲労回復に良いとされているナトリウム塩化物・炭酸水素塩泉。長時間のドライブの疲れをゆっくりと癒しましょう。
高台に位置し、北欧スタイルのおもてなし「ヒュッゲ」が味わえる「KIKI知床ナチュラルリゾート」や、ウトロ港から徒歩圏内にある「北こぶし知床ホテル&リゾート」展望大浴場が人気の「知床第一ホテル」などがあり、どの施設も温泉が備わっています。
夕食プランなしの宿泊の場合は、地元の味を堪能しに食事に出かけてみましょう。新鮮な魚介類を味わうなら、ウトロ漁港を見下ろす場所にある居酒屋「番屋」がおすすめ。元漁師が主人で経営しています。
ホテルが建ち並ぶ丘の上の一角にある「食事処潮騒」は、ほっけの開きやイクラ丼、ゆでシマ海老など地元の味以外にも、カツ煮や餃子などの定番料理もある地元の方にも人気のお店です。
なお、ウトロ地区は夜空いている飲食店が少ないため、確実に食べるなら予約をしておくのが安心です。
2日目:知床を遊び尽くす!
2日目は、世界自然遺産の知床を丸ごと遊び尽くすアクティビティが中心になります。午前・午後のどちらとも、冬の時期のみ、限られた場所でしか体験できないため、貴重な時間を過ごせるでしょう。一日ウトロを満喫した後は、反対側の羅臼へと向かいます。
2日目のスケジュール
9:00発流氷ウォーク参加→11:00着流氷ウォーク終了
11:05発道の駅うとろ・シリエトク(流氷ウォーク集合場所)→11:10着波飛沫(昼食)
12:00発波飛沫→12:05着道の駅うとろ・シリエトク
12:20発知床五湖スノーシューイング→17:00着知床五湖スノーシューイング終了
17:20発道の駅うとろ・シリエトク→19:00着知床羅臼
流氷ウォーク
集合場所の道の駅うとろ・シリエトクへ向かい、流氷の上を歩いて遊べるプログラムに参加します。
ウトロ周辺は、オホーツク海から流れ着いた流氷が知床半島によってせきとめられるため、密度が高くなります。ツアーでは、ドライスーツを着用して流氷の上を歩くだけではなく、触れたり寝転んだり、切れ間から海に飛び込んだりと、さまざまな体験が行えますよ。
流氷ウォークを行っている会社にはシンラやゴジラ岩観光、ピッキオ知床などがあります。なお、流氷ウォークは、自然ガイドツアーを催行しているシンラの商標登録です。他社は違う名称で、似たツアーを行っています。
波飛沫で昼食
流氷ウォーク集合・解散場所の道の駅うとろ・シリエトクから車で2分、昼はラーメン、夜は居酒屋になるお店で昼食です。ミシュラン北海道でビブグルマンに掲載されており、旭川の名店「山頭火」で修行をされた方が店主をしています。
おすすめのラーメンは塩味。豚骨ながらあっさりとしたスープで、細麺との相性が抜群です。また、程よい肉感ととろける食感のチャーシューも人気。
住所 | 斜里郡斜里町ウトロ西176-10 |
電話番号 | 0152-24-3557 |
営業時間 | ラーメンは11:00~14:30(日曜定休日) |
駐車場 | あり |
公式サイト | 波飛沫 |
知床五湖スノーシューイング
認定のガイドの引率で、雪に覆われる知床五湖へスノーシューを履いて散策にでかけます。凍った湖面に降り積もった雪の上を歩くため、夏には絶対に行けない場所へと歩みを進められるのが、このツアーの一番の醍醐味。
夏は大勢の観光客で賑わう知床五湖ですが、冬期間は知床五湖に通じる道道93号の一般車両の乗り入れが禁止となります。木道も閉鎖されるため、個人で訪れても近づくことはできません。
スノーシューイングのツアー参加者だけが、立ち入ることを許可されるため、聞こえてくるのは雪を踏みしめる足音や、野生動物の鳴き声のみ。静寂に包まれた森の中を抜けると、青空に映える白銀の知床連山が出迎えてくれます。
知床五湖スノーシューイングを行っている会社には、シンラやピッキオ知床、知床ネイチャーオフィスなどがあります。
集合場所については、当該の事情から催行会社の事務所であったり、ウトロに宿泊の場合は宿泊施設までの送迎可能な場合もあるので、ツアーを申し込むときに確認しておきましょう。
知床羅臼に宿泊
道の駅うとろ・シリエトクから車で1時間45分、知床半島の東側、羅臼町で2日目は宿泊です。知床横断道路が開通している期間であれば、ウトロから羅臼までは車で40分ほどですが、冬期間は知床横断道路が使えないため迂回路を利用します。
宿泊施設はペンションや民宿が多く、その宿ならではのおもてなしが受けられます。知床サライは、羅臼では珍しくイタリアンやフレンチのコースが食べられるゲストハウス。チトライ川のほとりにある「民宿鷲の宿」は、シマフクロウがやってくる宿として写真愛好家に人気です。
飲食店は、無添加の更科そばとカニをふんだんに使ったかき揚げのセットが人気の「そば処しずか」や、地元の人も通う名店「いさみ寿司」などがあります。
3日目
3日目は、羅臼の海をクルーザーで探索しながら、流氷とバードウォッチングのツアーから開始。その後も羅臼の自然を堪能し、午後は野付半島ネイチャーセンターのある尾岱沼へと移動します。水平線のように広がる氷の大地で、夕日や夜景を眺めながらの撮影会に参加しましょう。
3日目のスケジュール
9:00発流氷バードウォッチング→10:00着羅臼港
10:10着知床羅臼ビジターセンター→11:00発知床羅臼ビジターセンター
11:10着道の駅知床らうす(お土産&昼食)→12:20発道の駅知床らうす
12:25着羅臼国後展望台→12:50発羅臼国後展望台
14:30着野付半島ネイチャーセンター→15:00発氷平線夕景フォトツアー参加
17:00着氷平線夕景フォトツアー終了→17:10発野付半島ネイチャーセンター
17:40着尾岱沼宿泊
流氷&バードウォッチング
羅臼港から出航し、流氷と貴重な野生動物を観察するツアー。流氷の密度が高いウトロとは異なり、羅臼側は密度が低いため、クルーザーや小型ボードといった小回りの利く船に乗って羅臼の海を自由に巡ります。
相手は野生のため絶対とはいえませんが、ツアー中は国の天然記念物であるオジロワシやオオワシに高確率で遭遇できます。運が良ければ、アザラシやトドを見つけられるかも。
もちろん、動物だけではなく、クルーザーからは雄大な知床半島や、北方領土のひとつである国後島など、ここでしか見れない景観が楽しめます。
流氷&バードウォッチングは複数のツアー会社が行っており、それぞれに開始時間や料金などが異なります。知床ネイチャークルーズや知床・羅臼観光船はまなす、観光船アルランⅢ世、ゴジラ岩観光などから、希望のツアーを探してみましょう。
知床羅臼ビジターセンター
羅臼港から車で6分、環境庁が設置している施設で、知床のさまざまな情報を発信しています。館内にはシャチの骨格標本やヒグマ、エゾシカの剥製などが展示されており、レクチャールームでは知床の四季の様子をハイビジョン映像で楽しめます。
センターの裏手には北海道指定天然記念物「羅臼間欠泉(かんけつせん。地面より吹き出す温泉)」があり、こちらも併せて見学が可能です。
冬期間は積雪しているため、必要であればスノーシューをビジターセンターで借りて徒歩で見学に向かってください。
住所 | 目梨郡羅臼町湯ノ沢町6-27 |
電話番号 | 0153-87-2828 |
営業時間 | 11~4月は10:00~16:00(月曜休館) |
駐車場 | あり |
公式サイト | 知床羅臼ビジターセンター |
SNS | X/Instagram |
道の駅知床らうすで昼食とお土産
知床羅臼ビジターセンターから車で5分。観光案内所が併設されているので、観光地の情報やクルーズ船の予約などが行える他、隣接されている深層館や海鮮工房では羅臼の海産物を始めとしたお土産が購入できます。
さらに、深層館2階の知床食堂では羅臼のグルメを楽しめます。ウニ丼や海鮮丼を始め、「羅臼昆布羅~メン」や「黒ハモ丼」といった羅臼ならではのグルメもおすすめです。
羅臼国後展望台
道の駅知床らうすから車で6分、知床羅臼八景のひとつ、羅臼国後展望台へ向かいます。
施設の名前のとおり、展望台の屋上(海面から167m)からは羅臼の港や海、天気がよいと国後島が見渡せる絶好のロケーション。双眼鏡や望遠鏡が設置されているので、流氷の時期は国後島まで続いているのでは?と錯覚してしまうほどの、一面の氷の大地が見られます。
羅臼国後展望台は北方領土の返還を目指して設置された施設のため、北方領土に関する資料や写真が見学できる展示室や、北方四島の交流の様子などをまとめた映像が見られる映像室があります。
どちらも無料で利用できるので、流氷見学と併せてぜひ立ち寄ってみてください。
また、併設されている喫茶店では、海洋深層水を使ったソフトクリームが味わえます。
住所 | 羅臼町礼文町32-1 |
電話番号 | 0153-87-4560 |
営業時間 | 11~1月は10:00~15:00、2~3月は9:00~16:00(月曜休館、祝祭日の場合は翌日。年末年始は休業) |
駐車場 | あり |
公式サイト | 羅臼町役場 |
氷平線夕景フォトツアーに参加
羅臼国後展望台から車で1時間10分。野付半島ネイチャーセンターに集合後、トドワラ星空フォトツアーに参加します。
フォトツアーまでは時間があるので、途中野付半島内にある第2しべつ駐車場やナラワラで写真を撮りながらゆっくりと向かいましょう。
結氷した野付湾にかかる木道を歩き、トドワラ桟橋にてプロカメラマンによる撮影が行われます。視界を遮るものがない海の上には満天の星空が広がり、まるで異国のような気分を味わえます。さらに撮影した写真はデータ3枚がプレゼントされます!
帰り道は木道ではなく、ガイドの案内により完全結氷した野付湾を歩く貴重な体験も。17:20~18:10集合で、ツアー所要時間は2時間30分ほどになります。
氷平線夕景フォトツアーや、トドワラ星空フォトツアーは開催期間や日時が限られているので、ツアー開催日以外に野付半島を訪れたときは、野付半島ネイチャーセンターが主催している別のツアーへ参加してみるのもいいでしょう。
野付半島ネイチャーセンターの右側で、ウユニ塩湖のようなトリック写真が撮影できる「氷平線ミニウォーク(60分程度)」や、スノーシューを履いて野付半島ネイチャーセンターからトドワラまでの往復を散策する「トドワラ氷平線コース(120分程度)」などがあります。
ちなみにトドワラとは、海水によって浸食され立ち枯れたトドマツのことで、野付半島の見どころの一つでもあります。
訪れた人の多くが「この世の果て」感を抱く、独特の世界観のある場所なのですが、風化によって数が減少しており、いずれこの景色は見られなくなるといわれています。ぜひ今のうちに訪れてみましょう。特に冬は一面が氷に覆われ絶景です。
ツアーに参加しなくても、散策するだけでも楽しめる場所です。野付半島は風が強く非常に寒いので防寒はしっかりと!
尾岱沼に宿泊
野付半島を満喫した後は、近くの尾岱沼で旅の疲れを癒しましょう。大浴場や露天風呂のある尾岱沼温泉シーサイドホテルや、尾岱沼ふれあいキャンプ場近くの旅館海の宿みさき、個室ゲストハウスの尾岱沼ネストなどがあります。
食事をするなら、尾岱沼漁港近くにある食堂、食事処白帆がおすすめ。別海町で獲れた北海シマエビやホタテを使った天丼や焼魚定食などが食べられます。
海産物以外が食べたい人は、ミートハウスながのを訪れてみましょう。希少なブランド牛「潮騒牛」のステーキやハンバーグを始め、串盛り合わせや鶏モモから揚げ、レバニラ炒めなどが味わえます。
4日目:釧路でカヌーに乗りタンチョウに会いに行く
尾岱沼を後にして向かうのは釧路方面。冬にこそ挑戦したい釧路川のカヌーツアーや、国の天然記念物タンチョウに会いに行きましょう。夜は阿寒湖温泉に宿泊します。
4日目のスケジュール
8:00発尾岱沼→10:00着塘路駅(釧路川カヌーツアー参加)
12:00着塘路駅(釧路川カヌーツアー終了)→12:10着塘路駅周辺で昼食
13:30着サルルン展望台→14:30発サルルン展望台
15:00着タンチョウサンクチュアリ→15:30発タンチョウサンクチュアリ
16:20着阿寒湖温泉→19:50着アイヌコタン(古式舞踏とロストカムイ観劇)
釧路川カヌーツアー
道の駅おだいとうから車で1時間40分で、塘路駅に到着。釧路川カヌーツアは塘路湖を出発点としているところが多いので、塘路駅が集合場所になります。
ラムサール条約登録湿地であり、日本最大の湿地である釧路湿原内を流れている釧路川は、周辺の豊かな自然だけではなく、ダムにせき止められることなく下ることができるため、カヌー愛好家からは聖地と呼ばれる場所。
観光シーズンの夏には混雑する川下りも、冬は人が少ない中でゆったりとした時間を過ごせます。運が良ければ、カヌーからエゾシカやオオワシ、タンチョウなどの野生動物が見られることも。
また、冬ならではの澄んだ空気や雪景色も美しくおすすめです。
ツアー会社によって開始時間は異なりますが、午前中は9:30~11:00のスケジュールで約2時間ほど行っているところが多いです。Marsh&RiverやMatatabi、アトレーユなど、ツアー会社の詳細を確認してみましょう。
塘路駅周辺で昼食
塘路湖キャンプ場のすぐ近くにある「ドライブイン丹頂」は、ラーメンやチャーハン、カレーなどが食べられるお店です。お店の推しは味噌ラーメン。丹頂水産加工所が直営のドライブインで、連なった隣のお店で製造・販売されているワカサギの佃煮も人気です。
洋食のお店「プレッツェモーロ」は、地元産の食材を使ったパスタの種類が多く、本格的なイタリアンが食べられる人気の一軒家レストラン。なお、店主が化学物質過敏症のため、柔軟剤や香水などの暴露がある場合は、入店を断られる可能性があるので注意してください。
サルルン展望台
塘路駅から車で4分、駐車場からは山道を上って20分ほどで到着します。
サルルントーという沼や塘路湖、釧路湿原などが一望できる場所で、冬の時期はSL冬の湿原号が湿原内を疾走する姿が見られるため、鉄道マニアや写真愛好家などに人気がある場所です。
ただし、除雪が入らないので、落ち葉などの上に雪が降り積もった山道を往復することになります。大変滑りやすくなっているので、滑り止めのついた冬用の靴を履くなど、事前に対策を行うようにしましょう。
また、悪天候などの場合は無理をしないようにしてください。
日本野鳥の会鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ
サルルン展望台から車で30分、鶴居・伊藤サンクチュアリはタンチョウの生態を間近で観察できる施設になります。この地で30年に渡り、タンチョウに給餌を行っていた酪農家・伊藤良孝さんから、日本野鳥の会が提供を受ける形でタンチョウの保護活動を目的に設置されました。
鶴居・伊藤サンクチュアリにはネイチャーセンターと給餌場があり、ネイチャーセンターは冬季のみ開館しています。ネイチャーセンターが閉館していても、給餌場にいるタンチョウを見学したり、撮影が可能です。
12月以降は午前と午後の2回、給餌を行っており(午後は14:00~14:30ごろ)、最大で300羽ほどのタンチョウがやってきます。
住所 | 阿寒郡鶴居村字中雪裡南 |
電話番号 | 0154-64-2620 |
営業時間 | 10~3月は9:00~16:00
(12月26日~1月1日、4月1日~9月30日は閉館、毎週火曜・水曜、毎月1・3・5週の木曜日は定休日) |
駐車場 | あり |
公式サイト | 日本野鳥の会鶴居・伊藤サンクチュアリ |
SNS | X/Instagram |
阿寒湖温泉で宿泊
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリから車で47分。阿寒湖畔にある温泉街に一泊します。
旬の素材を生かした和食を始め、各国料理に定評のあるあかん悠久の里鶴雅や、屋上の天空ガーデンスパで阿寒湖との一体感が楽しめるニュー阿寒ホテル、源泉かけ流し100%のお湯が自慢のホテル御前水などがあります。
ホテルで夕食の後は、2月のみになりますが、阿寒湖の冬の風物詩イベント「阿寒湖氷上フェスティバルICE・愛す・阿寒」へ参加してみましょう。氷点下20℃で飲む甘酒やホットミルクは格別です。20:00からは澄んだ夜空を彩る花火も見られます。
アイヌコタンでアイヌ文化に触れる
阿寒湖温泉から徒歩6分、阿寒湖アイヌシアター「イコロ」にて、古式舞踊とロストカムイを観劇します。「イコロ」はアイヌ文化専用屋内劇場になります。
アイヌ古式舞踊は、ユネスコ世界無形文化遺産に認定されており、先祖から伝承されてきた歌や踊りを行うもの。コタン(集落)によって様式が異なりますが、阿寒湖アイヌコタンでは祭具の「イナウ」を中心とした演舞が見られます。
また、ロストカムイはアイヌ古式舞踊に現代舞踊や3DCG、7.1chサラウンドを組み合わせた新たな演目で、立体的な舞台を鑑賞できます。
住所 | 釧路市阿寒町阿寒湖温泉4丁目7-84 |
電話番号 | 0154-67-2727 |
料金 | ・アイヌ古式舞踊は大人(中学生以上)1,500円、小学生700円 ・ロストカムイは大人(中学生以上)2,200円、小学生700円 |
公演スケジュール | 11月1日~25年4月25日 ・20:00~20:30(古式舞踊) ・21:00~21:30(ロストカムイ) |
公式サイト | 阿寒湖アイヌコタン |
SNS | Instagram/Facebook |
5日目:阿寒摩周国立公園の自然を満喫する
最終日は、阿寒湖に咲く冬季限定の「花」を見に早朝から出発です。阿寒湖からホテルに戻った朝食後は屈斜路湖、摩周湖と湖巡りをしながら、周辺の観光に出かけましょう。川湯温泉に立ち寄り、最後は美幌峠の夕日を眺めて4泊5日の旅を終えます。
5日目のスケジュール
6:00~7:00着阿寒湖→7:30発阿寒湖
(宿泊施設で朝食後)
9:30着双湖台→9:45発双湖台
9:50着双岳台→10:10発双岳台
11:00着屈斜路湖砂湯→11:30発屈斜路湖砂湯
11:45着硫黄山(アトサヌプリ)→12:10発硫黄山(アトサヌプリ)
12:30着摩周湖第一展望台(カムイテラス)→13:30発摩周湖第一展望台
14:00着川湯温泉→15:20発川湯温泉
16:00着美幌峠
阿寒湖でフロストフラワーを見る
結氷した湖面に雪が積もらず、なおかつ薄氷で、気温はマイナス15℃以下と冷え込んだ風のない早朝にしか見られない「フロストフラワー」。寒い北海道でも簡単には見られない現象なのですが、阿寒湖は地理的な条件から比較的遭遇率が高いことで知られています。
個人でフロストフラワーを見に行くことは可能ですが、その場合は湖畔からのみ探すようにしてください。阿寒湖には湯壺があるので、安易に湖面を歩いてしまうと穴に落ちてしまい大変危険です。
安全にフロストフラワーを探すなら、地元のガイドが主催しているツアーに参加するのがおすすめです。そもそもフロストフラワーの遭遇率は30%と高くありませんが、阿寒湖を熟知しているガイドがその日の天候などを踏まえ、遭遇しやすい場所に案内してくれます。
フロストフラワーのガイドは阿寒観光協会(0154-67-3200)や阿寒ネイチャーセンター(0154-67-2801)などが開催しています。料金や時間などがそれぞれ異なるため、詳しくは問い合わせしてください。
双湖台
阿寒湖温泉から車で15分、国道241号線を阿寒湖から弟子屈方面に進んだところにある展望台です。周囲はエゾマツなどの高木に囲まれていますが、その中に北海道に似た形をした「ペンケトー」とペンケトーよりも大きな「パンケトー」の2つの湖があります。
ただし、「パンケトー」は一年を通じてその姿はほとんど見られません。
また、展望台近くには駐車帯がありますが、冬は積雪によって停められない場合があることや、駐車帯から50mほど上がる展望台も、雪によって歩行が難しくなっている可能性があるので注意してください。
双岳台
双湖台から車で6分、阿寒横断道路(国道241号)にある展望スポット。晴れた日には正面に山らしい円錐形をした雄阿寒岳、左奥にはなだらかな山容ながら、今なお噴煙を上げる雌阿寒岳が見えます。冬の時期は、2つの山が冠雪した絶景を見ることができます。
双湖台と同様に駐車帯があり、駐車帯から直接、2つの山を見渡せます。雄阿寒岳と雌阿寒岳は合わせて「阿寒の夫婦岳」とも呼ばれているので、仲良く寄り添うように佇む姿を眺めてみましょう。
屈斜路湖の砂湯
双岳台から車で43分。屈斜路湖は日本のみならず世界でも有数の広さを持つカルデラ湖で、どこから見てもコバルトブルーの湖水が美しい人気の観光地です。
しかも、湖畔の砂浜を掘ると温泉が出るので、好きな場所に自分で露天風呂が作れてしまう珍しい場所でもあります。
周辺が火山地帯のため、砂浜の下の水が常に温められた状態となっているのが、湖畔で砂湯を楽しめる理由です。また、屈斜路湖は淡水なので海水のようにべたつかず、気持ち良く入れるのも人気に一役買っています。
しかし、実際には体が浸かれるほど穴を掘れる人は少なく、途中で断念してしまうのだとか。その場合でもスワンボートの乗り場近くに無料の足湯があるので、膝まで温泉に浸かりながら屈斜路湖を眺めることができます。
硫黄山(アトサヌプリ)見学
屈斜路湖砂湯から車で12分。砂利道を歩いて白煙が吹き出る噴気孔のそばまで近づけるため、地球の蠢きをよりダイナミックに感じられます。
雪に覆われた硫黄山は普段と違う姿でとても美しく魅力的です。
そして、秋から冬の期間には硫黄山のライトアップが行われており、日中に見る景色とはまた違った姿が楽しめます。
摩周湖第一展望台(カムイテラス)
硫黄山から車で20分。摩周湖第一展望台で美しい摩周湖を眺めましょう。
施設の屋上にあるテラスからは、結氷した摩周湖や、摩周湖を取り囲むように生えている山の木々に雪が積もり、北海道の冬の風物詩である樹氷が眺められます。
美しい景色を味わった後は、休憩がてら軽食を食べるのもよいでしょう。
摩周外輪山の伏流水を利用した摩周ブルーソフトは、摩周湖の湖面をイメージした鮮やかな青色が特徴。
川湯温泉で観光
摩周湖第一展望台から車で22分、宿泊しなくても立ち寄りたい、風情ある川湯温泉を観光しましょう。冬の時期は、ホテルの間を流れる温泉の川からの湯気によって、霧氷が美しく輝く唯一無二の光景に出会えます。
川沿いには遊歩道が整備されており、全国的にも珍しい強酸性の湯気を浴びる「蒸気浴ウォーク」を楽しんだり、長靴をレンタルして川の中を散策することもできます。
また、川湯温泉駅に隣接した昭和レトロの雰囲気があるカフェ「オーチャードグラス」や、そば粉を使ったクレープが食べられる「ノーブル」など、ノスタルジックな気分を味わえる素敵なお店に立ち寄ってみるのもよいでしょう。
美幌峠の夕日
川湯温泉から車で36分、屈斜路湖が一望できる美幌峠で稜線に沈みゆく夕日を眺めます。美幌峠は道東随一の朝日・夕日スポットとして、一年を通じて人気がありますが、特に冬の時期は空気が澄んでいるので、景色が鮮明に、より美しく見えます。
また、峠の頂上には、国土交通省が発表する北海道の道の駅ランキングにおいて、景観部門で6年連続1位を獲得している「道の駅ぐるっとパノラマ美幌峠」があります。美幌町の食材が使われた食事が味わえるレストランや、堀江貴文さん監修のパン屋「小麦の奴隷」、東京や札幌にお店を持つアパレル&雑貨が出店しているなど、景色以外も楽しめるスポットになっています。
なお、峠のため、悪天候によっては道路が通行止めになったり、通行止めにはならずともカーブが多い道ゆえ走行には十分な注意が必要です。
住所 | 網走郡美幌町字古梅 |
電話番号 | 0152-77-6001 |
営業時間 | 11~4月下旬は9:0~17:00(年末年始は休館日の場合あり) |
駐車場 | あり |
公式サイト | 道の駅ぐるっとパノラマ美幌峠 |
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旅のアドバイス
道東は雪が少ないので日中の運転は大通りは比較的安全です。
しかし、朝晩はアイスバーンで非常に滑りやすく危険なので、雪道の運転に慣れていない方はなるべく日が出ている時間に運転するようにしましょう。
また、服装にも気をつけましょう。しっかりと防寒することは当たり前ですが、歩道は滑りやすく、雪が降ったあとに十分な除雪がされていない場合は雪が靴に入り込むこともあるので、スノーブーツを持参することをおすすめします。
冬の服装についてはこちらの記事を参考にしてみるとよいでしょう。
冬は天気が安定する傾向にありますが、急な悪天候に見舞われることもあるので、ゆとりを持ったスケジュールで旅行をすることも重要です。